承諾の返事を送った夜、「これで決まった」と息をつく。そのすぐあとに、頭の隅に残っていたものが浮かんでくる。春から準備してきた資格試験。迷っていた留学。まだ結果が出ていない別の会社の選考。「もう承諾したんだから、あれは終わりにしなきゃ」。そう考えて、一つずつ閉じようとしている。
内定について調べると、承諾の期限や断り方の話はたくさん出てきます。けれど、承諾したあとに残っている道をどう扱えばいいのかは、あまり書かれていないのではないでしょうか。
この記事では、内定を承諾したあとに残っている選択肢を、どう考え、どう扱えばいいのかを考えてみます。
内定を承諾すると会社との契約が成立する
東京都が2021年に発行した就活生向けの労働法の冊子によると、内定通知を受け取り、誓約書などを提出すると、会社とのあいだに労働契約が成立していると考えられるのが一般的です。大学などの卒業を条件に、4月1日から働き始める契約で、これを「始期付解約権留保付労働契約」といいます*1。
契約が成立しているので、会社の側は簡単に内定を取り消せません。内定の取り消しには、通常の解雇と同じように合理的な理由が要るとされています*1。
働く側の決まりについても、同じ冊子に書かれています。労働者には職業選択の自由があり、内定の辞退を会社が拒むことはできません。辞退すれば、2週間で契約は終わるとされています*1。
内定の承諾で決まるのは、会社との約束です。約束は守るのが基本ですが、承諾した日から、資格試験や留学、別の選考を考えてはいけないという決まりがあるわけではありません。

内定から入社の決心までに時間がかかる人もいる
『就職白書2026』では、2026年卒の学生に、入社予定の会社への入社を決心した時期と、その会社から内定を受け取った時期を聞いています。両方が同じ月だった人は48.8%でした*2。
1か月あとに決心した人は20.6%、2か月あとは8.8%、3か月あとは5.1%で、12か月以上あとという人も6.6%いました*2。
内定を受け取ってから心が決まるまで、時間をかけている学生は少なくありません。
同じ調査で、就職先の決定を振り返って「安易に決めてしまったと感じる」に当てはまると答えた人は、38.5%でした*2。決めたあとで迷いが残ることも、珍しくはないのでしょう。
残っている道の先を両方描いておく
我究館には、内定を得たあとで「司法試験を受ける」と決め、実際に受験した学生がいました。その学生は、結果が出る前に面談に来て、受かっていた場合と受かっていなかった場合の二通りで、その先を設計したそうです。
二つの道の先をそれぞれ描いておけば、結果が出た日に、どちらに進むかを自分で選べます。
承諾した会社に入る道も、この設計の中の一つです。会社に入った場合の先と、もう一つの道に進んだ場合の先を、同じように描いておきます。
そのうえで、もう一つの道の結果が出たときに、承諾した会社との約束をどうするかを決めます。迷ったまま何もしないのとは違い、決める日と、決めるための材料を、先に用意しておくわけです。

承諾したあとにやること
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内定の承諾は、会社との約束です。守るのが基本ですが、承諾したからといって、ほかの道を考えることまで禁じられるわけではありません。
承諾した夜に閉じかけた道があるなら、いったん開いて書き出してみてください。どちらの会社が上かを比べるより、どちらの道の先に、自分が描きたい未来があるのかを考えるほうが、あとで後悔しにくいはずです。
残っている道の先まで描いてから決めておくと、どちらを選んでも、自分で選んだ道として入社日を迎えられます。
(参考)
*1: 東京都産業労働局|就活必携労働法-知っておきたい法律と相談窓口-
*2: リクルート リサーチセンター(旧・就職みらい研究所)|『就職白書2026』データ集



