「AIでなくなる仕事」を理由に志望を外す前に、確かめておきたいこと

就活ノウハウ
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業界研究を始めて、気になる職種をいくつか書き出した。そのうちの一つを検索してみたら、「AIでなくなる仕事」の記事に行き当たった。

事務や経理の仕事が並ぶなかに、その職種の名前もある。せっかく興味を持ったのに、これから減っていく仕事を選ぶのはまずい気がして、候補から外した。

「AIでなくなる仕事」を扱う記事は、研究機関の分析をもとに書かれていることがあります。2024年に大和総研が発表した分析では、職業の中の作業を一つずつ調べ、その結果をもとに職業をグループに分けました。記事では職業名しか目にしませんが、分析は作業ごとの判定を積み上げてできています。

生成AIに代わられやすいかどうかは、同じ分野の仕事でも、担う作業によって変わります。分析のやり方を知っておけば、外した志望を自分で判断し直せるようになるはず。

生成AIの影響を作業ごとに調べた大和総研の分析

大和総研の分析は、日本版O-NETに載っている職業のうち、作業の内容が分かる456職業を対象にしています。一つひとつの作業について、生成AIを使えばかかる時間を半分にできるかどうかを、GPT-4で判定しました*1。

そのうえで、職業を生成AIの影響の受け方で三つに分けています。単純作業を生成AIに任せ、より付加価値の高い業務に力を注ぎやすい「協働グループ」、仕事の主要部分が生成AIに自動化されやすい「代替グループ」、どちらのグループほど明確な影響は受けない「その他の職業グループ」です*1。

働いている人の数で見ると、生成AIの影響をはっきり受ける協働グループと代替グループを合わせて39.0%、およそ5人に2人にのぼります。内訳は協働グループが18.1%、代替グループが20.9%で、仕事の主要部分が自動化されやすい代替グループだけでも、およそ5人に1人です。残りの61.0%は、その他の職業グループに入っています*1。

生成AIと職業の関係

就業者に占める割合DAIWA INSTITUTE OF RESEARCH 2024
代替 20.9%協働 18.1%その他 61.0%
代替グループ
20.9%
仕事の主要部分が生成AIに自動化されやすい
一般事務経理事務受付事務医療事務銀行等窓口事務貿易事務データ入力コールセンターオペレータープログラマー翻訳者
協働グループ
18.1%
単純作業を生成AIに任せ、より付加価値の高い業務に注力しやすい
経理課長人事課長営業課長企業法務担当公認会計士弁護士経営コンサルタントデータサイエンティストマーケティング・リサーチャー
※大和総研「生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策」の図表10から職業名を一部抜粋、割合は図表12の就業者ベース*1

同じ経理でも「代替」と「協働」に分かれる

図のとおり、経理事務は代替グループに、経理課長は協働グループに入っています。人事課長や営業課長も協働グループの側です。

レポートの集計では、どちらのグループも、生成AIで自動化できる作業の割合が高く出ています*1。協働グループには、情報を分析したり、人との関係をつくったりする仕事が多く含まれ、結果への責任も重いとされました。代替グループに入った職業では、決まった手順をくり返す作業が中心を占めています*1。

自動化される作業の量が同じくらいでも、残る作業が何かによって、生成AIとの関係は分かれるわけです。

レポートは代替グループについて、適切な対応がなければ、非正規社員を中心に雇用や所得が減ったり伸び悩んだりする公算が大きい、と書いています*1。

職業名で志望を外すと起きること

経理の仕事には、伝票の入力のほかに、数字が合わないときに原因を追うことや、現場への聞き取りもあります。どの作業にどれだけ時間を使うかは、会社や部署によっても違ってきます。

入社してから経理のどの仕事を受け持つかは、職業名を見ただけでは分かりません。

たとえば、伝票の入力には興味がない人がいたとします。数字が合わない原因を突き止めることなら、何時間でも続けられるタイプです。

ところが「経理はAIでなくなる」という記事を見て経理を候補から外すと、原因を突き止める仕事に打ち込める場所まで、一緒に手放してしまいます。

協働グループの職業も、単純作業は生成AIに任せる前提で分析されています。協働グループに名前がある職業を選べば安心、というわけでもありません。

「なくなる仕事」を作業に分けて志望を選び直す3ステップ

1外した職業の一日を作業に分けて書き出す

志望から外した職業を書き出して、その仕事の一日にどんな作業があるのかを、朝から順に分けてみてください。一日の流れが分からなければ、OB・OG訪問などでその職業の人に聞くのが確実です。

分けた作業には、決まった手順をくり返すものと、情報を分析したり人とやりとりしたりして判断するものがあるはずです。大和総研の分析と同じ見方で、二色のペンで塗り分けておきましょう。

3つのステップの中で、この書き出しがいちばん大事です。2と3は、ここで分けた作業を材料にして進めます。

→ 次へ渡すもの職業の作業リスト(二色に塗り分け済み)

2自分が時間を忘れて取り組んだ作業を書き出す

次に、これまでの経験で、気づいたら何時間も経っていたことを思い出して、書き出してみます。部活の練習メニューを組む、文化祭の予算を合わせる、といった具合に、1と同じくらいの細かさで書くのがコツです。

『絶対内定』ですすめている自己分析のワークシートで過去を書き出していれば、それもそのまま使えます。

この書き出しが空のままだと、職業の作業を見ても、自分がどれを担いたいのか判断のしようがありません。

→ 次へ渡すもの自分が時間を忘れた経験のリスト

1と2を重ねる

3二つの書き出しを重ねて志望を選び直す

1で分けた職業の作業と、2で書き出した自分の経験を並べて、中身が似ているものに印をつけます。文化祭の予算を合わせた経験と、経理で数字が合わない原因を追う仕事なら、どちらも数字の食い違いを見つけて直すことです。

印のつく作業が多い職業は、「なくなる仕事」として名前が挙がっていても、候補に戻して構いません。

こうして志望を選び直しておくと、面接で「AIで仕事がなくなると言われていますが」と聞かれたときも、具体的な仕事の話ができます。

経理を志望する学生なら、「伝票の入力は生成AIに任せる場面が増えても、数字の食い違いの原因を現場で聞いて突き止めることは、人が担う部分が残ると考えています」と話せます。続けて、「文化祭で予算が合わなかったときも、時間をかけたのは関係者への聞き取りでした」と、自分の経験を添えることもできるでしょう。

***

「AIでなくなる仕事」を理由に外した職業があるなら、その理由が職業の中のどの作業にあたるのかを、一度確かめてみませんか。

記事の見出しで職業名を見ただけで外すと、その職業の中で自分が担いたかった仕事まで見落とすかもしれません。

職業を作業に分けて書き出し、自分がこれまで時間を使ってきたことと並べておけば、職業名だけで志望を決めずに済みます。次に同じような記事を見かけたときも、手元の書き出しと照らし合わせて判断できるはずです。


(参考)

*1: 大和総研|生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策(新田尭之、大和総研調査季報 2024年春季号 Vol.54、2024年4月25日。日本版O-NETの職業のうちタスクが取得できる456職業について、各タスクをGPT-4で分類し、国勢調査などと対応させて就業者の割合を推計)

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監修者プロフィール

絶対内定ラボ編集部

『絶対内定』シリーズは、日本で最初の就職・転職活動支援スクールである我究館による発行本です。大学生協18年連続売上第1位の一番売れてる自己分析本で、人気・難関企業への多数の採用実績をもとに、「何をすれば内定するのか」を具体的に提示しています。