「安定」は無料の選択肢ではない。就活の軸を決める前に考えたいこと

就活ノウハウ
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就活が始まり、企業を選ぶ際に「安定している会社がいい」と考える、いわゆる「学生の安定志向」と呼ばれる傾向が、ニュースになることがあります。でもこれは、考えてみれば普通のことですよね。就活に限らず「不安定さを求める」なんて少数派なはずです。

問題になり得るとすれば、安定していること「だけ」が志望理由になっていて、その中身について十分に考えられていないこと。安定と一口にいっても、その内容はさまざまで、細かくみれば違うはず。

あなたにとっての「安定」とは何を指すのでしょうか。今回の記事ではその点を考えてみましょう。

半数を超える学生が「安定」を挙げている

マイナビが2027年卒の大学生に、企業を選ぶときにどのような企業がよいかを、二つまで選んでもらった調査があります。最も多かったのは「安定している会社」で、55.4%でした*1。前年より3.5ポイント増えています。

二人に一人以上が、二つしかない枠の一つを「安定」に使ったことになります。

2位は「給料の良い会社」で26.6%、3位は「自分のやりたい仕事(職種)ができる会社」で25.5%でした。「安定」は、そのどちらと比べても二倍以上です。

同じ調査では、行きたくない会社も二つまで選んでもらっています。2位に入ったのは「転勤の多い会社」で、33.3%でした*1。

転勤がないことも、学生にとっては働き方の「安定」の一部かもしれません。とはいえ、この調査では「安定している会社」と「転勤の多い会社」は別々の選択肢です。

「安定している会社」を選んだ学生が何を思い浮かべていたのかまでは、数字からは読み取れません。つぶれない会社だったのかもしれませんし、転勤のない会社だったのかもしれません。

「安定」を五つに分けて考える

会社の「安定」と聞いて思い浮かぶものには、会社がつぶれないことや、給与が下がらないことがあります。簡単に解雇されないこと、転勤がないこと、残業が少ないことも、「安定」と呼ばれることがあるでしょう。

「安定」を分けてみると

1会社がつぶれない2給与が下がらない3簡単に解雇されない4転勤がない5残業が少ない

このうち、会社がつぶれないことは、誰もが望む前提といえます。つぶれそうな会社に、わざわざ入りたい人はいないはず。

残りの四つは、少し事情が違います。どれも望ましく見えますが、選ぶと、その反対側にあるものが手元から消えることがあるのです。

「安定」と引き換えに手放すもの

四つの「安定」を、それぞれ選んだときに手放すかもしれないものと並べてみます。

「安定」と引き換えに手放すかもしれないもの

選ぶ給与が下がらない
▼
手放す給与が大きく上がる可能性
だれの給与も下げない会社には、年功序列的な社風や制度が色濃く残っている可能性があります。それは、若いうちのチャンスが少ないということかもしれません。
選ぶ簡単に解雇されない
▼
手放す外資系企業などで働く選択肢
外資系企業の中には、成果に応じて高い給与を払う代わりに、成果や事業の状況しだいで雇用を見直す会社もあります。解雇されにくさを最優先にすると、こうした会社は候補に入りにくくなります。
選ぶ転勤がない
▼
手放す全国に拠点を持つ会社で働くこと
全国に拠点を持つ会社の総合職は、転勤を前提にしていることが多いものです。勤務地を変えながら仕事の幅を広げる機会も、あわせて手放すことになるかもしれません。
選ぶ残業が少ない
▼
手放すベンチャー企業などで働く選択肢
事業を立ち上げている最中のベンチャー企業や、その気質が残る会社では、忙しい時期に長く働くことも珍しくありません。若いうちから大きな仕事を任される環境とは、ぶつかることがあります。

残業については、我究館の面談でも「残業が少ないほうがいい」と話す学生がいます。コーチはその場で、「時間を忘れてできることは何か」「夢中になれるものは何か」を聞き返します。

それが見つかった学生は、残業の有無を会社選びの軸に挙げなくなることが多いといいます。残業の少なさを最初から条件にしていると、忙しくても夢中になれる仕事を、自分から候補の外に置いてしまうかもしれません。

「安定」は、無料で手に入る選択肢ではありません。何かを選ぶことは、多くの場合、その反対側にある何かを選ばないことでもあります。

四つの「安定」を全部そろえた会社は、なかなか見つからないものです。だからこそ、自分がどの「安定」を譲れないのかを先に決めておくと、会社を選びやすくなります。

あなたが譲れない「安定」を決める3ステップ

1STEP 1

あなたの「安定」と引き換えに消えるものを書く

会社がつぶれないことを除いた四つについて、紙の左側に「安定」の要素を、右側にそれを選ぶと消えるかもしれないものを書きます。右側は、この記事で挙げた例にかぎらず、自分で思いつくものを書いてかまいません。

3つのステップの中で、この書き出しがいちばん大事です。右側が書けて初めて、左側の「安定」を選ぶかどうかを比べられます。

NEXT ▶「安定」と、引き換えに消えるものの組

2STEP 2

組ごとにどちらを取るかを決める

四つの組を一つずつ見て、左の「安定」と右のもののどちらを取るかを決めます。転勤がないことと、全国に拠点を持つ会社で働くことなら、自分はどちらを取るのか。

右のものを手放してでも左を取る、と決められた要素が、あなたが譲れない「安定」です。

どちらとも決められない組は、そのまま残しておいてかまいません。説明会やOB・OG訪問で実際の働き方を聞くうちに、決められることもあるでしょう。

NEXT ▶あなたが譲れない「安定」

3STEP 3 ・ GOAL

譲れない「安定」に自分の理由を一行添える

転勤がないことを取った人なら、なぜ自分には住む場所を動かさないことが必要なのかを一行で書きます。家族の事情でも、続けたい活動でも、住み続けたい場所でもかまいません。

理由まで書けた「安定」は、志望企業を選ぶときの自分の基準として使えます。会社を調べるときも、見るところがはっきりします。その「安定」を持っている会社か、引き換えに何を求めてくる会社かを確かめればいいのです。

***

冒頭にあげた「安定している会社がいい」という考えは、多くの学生が持つ、ごく自然なものです。けれど、ある「安定」を選べば、その反対側にあるものは選ばないことになります。

どの「安定」を譲れないのかを決めておくと、手放すものも自分で選べます。『絶対内定』のワークシートで過去を振り返っておくと、理由の一行も書きやすくなるはずです。

何を取って何を手放すかを自分で決めた「安定」が、あなたの会社選びの基準です。


(参考)

*1: マイナビキャリアリサーチLab|2027年卒大学生就職意識調査(調査期間2025年10月1日〜2026年3月23日、2027年3月卒業見込みの全国の大学3年生・大学院1年生37,160名。「企業選択のポイント」「行きたくない会社」はいずれも「2つまで選択」)

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監修者プロフィール

絶対内定ラボ編集部

『絶対内定』シリーズは、日本で最初の就職・転職活動支援スクールである我究館による発行本です。大学生協18年連続売上第1位の一番売れてる自己分析本で、人気・難関企業への多数の採用実績をもとに、「何をすれば内定するのか」を具体的に提示しています。