
夏のインターンシップに応募した会社から届くのは、不合格の連絡ばかり。SNSを開けば、「〇〇のインターン参加します」という同級生の投稿が目に入ります。
エントリーした数社、あるいは十数社、全部落ちた——もう就活は終わったんじゃないか。そんな気持ちで、この記事を開いた人もいるかもしれません。
サマーインターンの全落ちは、本選考の敗北ではありません。でも、「気にしなくていい」という話でもありません。
この夏の不合格は、あなたに大事なことを、かなり早いタイミングで教えてくれています。
夏の選考は、そもそも狭き門
人気企業のサマーインターンは、受け入れられる人数が本選考の採用枠よりずっと少ないことが珍しくありません。数日間のプログラムに社員が付きっきりで関わるため、物理的に大人数は受け入れられないのです。
結果として、倍率は本選考より高くなることがあります。
つまり、夏のインターン選考に落ちたことは、「その会社に向いていない」という判定ではありません。単純に椅子が少なかった、それだけの可能性が十分にあります。
実際、インターンに参加できなかった人が本選考で内定する例は、いくらでもあります。秋インターン、冬インターンという機会も、この先まだ残っています。
夏の結果だけで、勝負がついたわけではないのです。
参加できた学生の側を見ても、同じことが言えます。面接で「インターンシップはどこに参加しましたか」と聞かれたとき、求められているのは参加社数の多さではありません。
初期のインターンは職業体験や業界理解のためのもので、その過程で自分の適性や志向を見極めていった、と語れれば十分だとされています。
つまり企業にとっても、夏のインターンは合否を決める場ではなく、学生が自分を見極めていく過程のひとつです。本選考で問われるのは、参加できたかどうかではなく、その見極めをどれだけ進められたかなのです。

落ちた理由を確かめる
倍率が高かった、椅子が少なかった——それは事実です。ただ、「全部」落ちたのだとしたら、運や倍率だけでは説明がつかない何かがある可能性も、見ておく必要があります。
やってほしいのは、敗因の言語化です。
落ち込んでいるときに自分の不合格を振り返るのは、正直、苦しい作業です。でも、ここから目をそらすと、同じことが秋にも、そして本選考でも起きます。
まず、どの段階で落ちたのかを確かめてください。ESで落ちたのか。Webテストか。面接やグループディスカッションまで進んで落ちたのか。段階によって、見直すべきものが違います。
Webテストなら、対策すれば上がります。技術の問題です。
でも、ESで落ち続けているなら、あるいは面接まで進んだのに通らないなら、それは技術の前に、見直すべきものがあるサインかもしれません。
落ちるESに共通していること
ESで落ち続けた人のESを見ると、共通していることがあります。
文章が下手なのではありません。むしろ、形は整っています。テンプレートに沿っているし、いまはAIで文章を磨く人も多いので、なおさらです。
整っているのに落ちるのは、なぜでしょうか。
書いてある言葉が、借り物だからです。
「貴社の〇〇に魅力を感じ」「サークルでリーダーシップを発揮し」。どこかで見た言葉を並べたESは、読み手に何も残しません。
読んでいる側は何百枚と目を通しているので、本人の中から出てきた言葉と、外から持ってきた言葉の違いが、はっきり分かります。
このサイトで何度も書いてきたことですが、これは文章力の問題ではなく、書く前の問題です。
自分がなぜその経験を選んだのか、なぜそこで動いたのか、何を大事にしている人間なのか。ここが自分の中で言葉になっていないまま書くと、埋められるのはテンプレートの空欄だけになります。
夏の全落ちを経験した人に本当に足りていなかったのは、多くの場合、ガクチカの「ネタ」ではありません。手持ちの経験と向き合う深さです。
そしてもうひとつ。インターンのESには、本選考とは違う特徴があります。志望度の熱さよりも、設問に正確に答えているかが見られる、ということです。
「入社したい思い」を熱く書きすぎて、聞かれたことに答えていないESは、それだけで落ちます。自分のESを読み返して、設問と答えがかみ合っているか、確かめてみてください。

夏に落ちた人が、秋までにやること
一つめは、自己分析のやり直しです。
やり直しといっても、診断ツールをもう一周する話ではありません。紙に、これまでの人生でうれしかったこと、悔しかったことを書き出してみてください。
書き出したら、一つひとつに「なぜ?」と聞いていきます。なぜあれがうれしかったのか。なぜあのとき悔しかったのか。答えに詰まったところが、まだ考えきれていない場所です。
地味ですが、秋以降のES・面接すべての土台になるのはこの作業です。
二つめは、社会人に会うことです。
インターンは、仕事の現場を知り、社会人と話す機会でした。でも、その機会を得る方法はインターンだけではありません。OB・OG訪問なら、選考なしで社会人と一対一で話せます。むしろ、インターンのグループワークより深い話が聞けることも少なくありません。
実際、地方在住で訪問の機会がつくりにくかった学生が、SNSで社員に連絡を取ってオンライン面談を実現し、その行動自体が面接で積極性の証明として評価された例もあります。会いに行く手段は、いくらでもあります。
夏に参加権を得られなかったぶん、ここで取り返せます。
三つめは、インターン以外の挑戦です。
企業が見ているのは「インターンに参加したか」ではなく、「自分で考えて動き、成長した実感のある経験をしたか」です。それはアルバイトでも、研究でも、自分で立ち上げた小さな企画でも構いません。
この秋、何かひとつ、自分で決めて本気で取り組んでみてください。その経験は、春に語れる中身になります。

傷が浅いうちに、教えてもらえた
もし今回の「浅さ」が、夏ではなく本選考で露呈していたら、どうなっていたでしょうか。
持ち駒が尽きていく春に、借り物のESと借り物の志望動機で戦っていたら、そのダメージは、いまとは比べものになりません。
夏の全落ちは、その浅さを、傷の浅いうちに教えてくれたサインです。本選考まで、まだ半年以上あります。向き合い直す時間は、十分にあります。
周りの「インターン参加します」の投稿は、たしかに焦ります。でも、就活の勝負は、参加したインターンの数では決まりません。自分のことを、自分の言葉で語れるかどうかで決まります。
そしてそれは、この秋からでも間に合います。
お祈りメールを閉じたら、紙とペンを出してください。自分と向き合い直す作業は、今日から始められます。そして、それはあなた次第。秋からでも十分間に合います。



