インターンには参加した方がいいのでしょうか? ―― 就活の相談の場でよく受ける質問のひとつです。
答えから言うと、インターンへの参加は可能であればした方がいい。
ただ、多くの人はインターンの目的を単なる「採用に有利になるイベント」だと捉えているようです。もちろん、採用に有利に働くことはあり、それは重要な利点です。
しかし、インターンに参加することにはもうひとつ大きな利点があるのです。今日は、就活におけるインターンの二つの利点をお伝えします。
ひとつめの利点――採用に有利になる
まず、ひとつめの利点から確認します。インターンでの評価は、そのまま早期選考につながります。
近年は制度が変わり、一定の条件を満たすインターンで得た学生の評価を、企業は採用選考に使えるようになりました。
夏や秋のインターンで評価の高かった学生に、冬のうちに早期選考を案内するといった運用が広がっています。「インターンは早期内定への近道だ」と見る人が増えたのも、このためです。
この利点は、たしかに大きいものです。早期選考の案内を得られるかどうかは、就活の進み方を大きく左右します。
ただ、ここで気づいておいてほしいことがあります。この利点のなかで、あなたは終始「もらう側」に立っているということです。
仕事をもらって評価をもらい、早期選考の案内をもらう。インターンを採用イベントとしてだけ見るというのは、何を受け取るかを中心にものを見ているということなのです。
もうひとつの利点は、その逆側にあります。それを説明するために、少しだけ遠回りをします。そもそも就職とは何をすることなのか、というところからです。

会社は、価値を届けるための舞台だ
そもそも、仕事とは何でしょうか。
仕事とは、会社の先にいる誰か、つまり「顧客や社会、目の前の相手」の役に立とうとすることです。その誰かに価値を届ける。これが仕事です。
では、なぜ会社に入るのでしょうか。一人で届けられる価値には限りがあるからです。
大きな価値を多くの人に届けようとすれば、資本も、仲間も、これまで築かれた信頼も必要。それを備えた場所が会社です。会社に入るとは、その舞台に立つことなのです。
だから、会社が求めているのは、その舞台の上で誰かに貢献できる人です。
逆に言えば、会社は「会社から何かをもらおうとする人」を必要としていません。入れば給料や待遇、肩書きや成長が手に入る――と、関心が「もらうこと」にばかり向いている人です。
会社という舞台がなければ、どれだけ届けたい価値があっても、届く範囲はごく小さなところで止まってしまう。ですから、会社に入ること自体はまぎれもなく大切です。そのために、早期の面接案内が有利に働くのであれば、それを勝ち取ったほうがいいのは当然です。
しかしそのうえで、もうひとつ考えるべきことがあります。その会社という舞台で、「自分の届けたい価値」をあなたが創ることができるのか、ということです。

ふたつめの利点――自分に合う舞台かを確かめられる
その問いを、実際に確かめられること。これが、ふたつめの利点です。
「この会社は、自分の届けたい価値をかなえられる舞台なのか」——それを、頭のなかの想像ではなく、現場で確かめられるのです。
ひとつめの利点は、「評価されて早期面接案内をもらうこと」「そのことで選考をを有利にすること」でした。つまり、受け取る側の話です。
しかし、ふたつめの利点は、その逆。選ばれるのを待つのではなく、自分の目で確かめにいく、その機会を得るということです。
インターンには、ほかの接点にはない強みがあります。説明会で見られるのは、会社が整えた表の顔まで。OB訪問が、働く人に話を聞いて自分で考える場だとすれば、インターンは、実際にやってみて、その目で確かめる場です。
仕事の現場を体験すれば、自分の適性を、頭のなかの想像ではなく、身をもって見極められます。
それを踏まえた人の志望動機には、迫力が出ます。

確かめるには、基準を持っていく必要がある
ただ、「自分に合うかを確かめる」というのは、思うほど簡単なことではありません。確かめるには、照らし合わせる基準が要るからです。
自分のなかに基準がなければ、合う合わないは、その場の印象だけで決まってしまいます。
たとえば、同じ二週間のインターンに参加した二人の学生がいるとします。
ひとりは、終わったあとにこう言います。
「きつかったけれど、やりきりました。社員の方も優しくて、いい会社でした」。
本気で取り組んだことは伝わってきます。ただ、その会社が自分に合っていたのかどうかは、何も言えていません。
もうひとりは、こう言います。
「あの会社の強さは、一社一社に深く食い込んで、関係を築く積み重ねにあると気づきました。トップの人ほど、同じ顧客に何年も通い続けている。自分は、目の前の一社に何年もかけるよりも、新しい仕組みをつくって一度に大勢へ届けるほうに力が出る人間です。社員の方に『既存の型を変える提案は通りますか』と尋ねたら、『まず現場で信頼を積んでからだ』と返ってきました。正しいと思います。ただ、自分が価値を出せるやり方とは、向いている方向が違う。そう判断しました」。
この差は、能力の差でも、どちらの会社が良いかでもありません。行く前に、自分の基準を持っていたかどうかの差です。
では、その基準はどうやって持てばいいのでしょうか。
我究館では、自分を深く掘り下げて、三つの問いに自分なりの答えを出します。この作業を、我究と呼んでいます。
三つの問いとは、Being・Having・Givingです。聞き慣れない言葉かもしれませんが、中身はむずかしくありません。
Beingは、自分は何者なのか。何を大切にして、どんなことに心が動く人間なのか。Havingは、何を得たいのか。仕事や人生を通して、自分は何を手に入れたいのか。そしてGivingは、何をもって貢献したいのか。社会や誰かに対して、自分は何を与えたいのか。
この三つは、そのままインターンで会社を見るときの視点になります。
この職場の進め方は、自分という人間に合うのか(Being)。自分が求めている働き方や成長は、ここで手に入りそうか(Having)。そして、自分が届けたい価値は、この会社の仕事のなかで本当にかなうのか(Giving)。
基準がはっきりしているほど、現場で何を見ればいいかがはっきりして、感想ではなく判断ができるようになります。
このBHGは、インターン参加の前に事前に準備しておくべきものです。
基準は、事前に自分のなかに定めておく。現場は、その基準に照らして確かめる場になります。ただインターンに参加するのではなく、その前に自己分析をしておく必要があるということです。

早期選考のためだけに、行くのではない
インターンは、早期選考の案内をもらうためだけに行く場ではありません。
早期選考は、あれば心強いものです。舞台に良い条件で立つための、大切な利点です。
ただ、そこにばかり気を取られて、もうひとつの利点である、「自分の届けたい価値(Giving)がこの会社でかなうのかを見極める機会」を手放してしまうのは、もったいない。二つの利点は、どちらも必要なのです。
「自分のBHG」という基準を持って、この会社が自分の届けたい価値をかなえられる舞台なのかを、その目で確かめにいく。そうして臨めば、インターンは、選ばれるために振る舞うだけの場ではなく、「確かめにいく場」に変わります。
行く前に、自分と向き合っておいてください。自分は何者で、何を得たくて、何を届けたいのか。
その基準を携えて現場に立ったとき、あなたは、ただ参加しただけの人には見えないものを、確かに持ち帰れるはずです。




