秋になって、本選考のエントリー先を決め始めた。夏のインターンで落ちた会社を思い出しながら、リストから一社ずつ外していく。
「あそこは無理だった。現実的に行こう」と、友人も同じことを言っていた。
この時期のエントリーの話は、持ち駒の作り方や絞り方が中心になりがちです。外した会社についてもう一度考える機会は、あまりありませんよね。外すことが「現実的な判断」として受け止められていて、疑うきっかけがないのでしょう。
けれど、受かりそうな会社まで志望を下げても、就活では、受験のときのように守れるものがほとんどありません。「現実的」と感じるのは、受験で身につけた判断の仕方を、そのまま就活に当てはめているせいかもしれません。
その判断が今回の会社についてのものなのか、自分のいつもの癖なのかは、自分で確かめることができます。
受験の「現実的」と就活の違い
受験では受験料がかかり、試験日が重なれば一方しか受けられません。国公立大学の前期日程のように、出願できる数そのものが限られている試験もあります。
落ちれば浪人するか、滑り止めに進むことになります。合格の可能性を見て志望校を下げる判断には、守るものがありました。
就活では、事情がかなり違います。エントリーにお金はかからず、書類はオンラインで出せます。出せる社数に決まりはなく、A社の選考結果がB社の選考に伝わることもありません。
もちろん、書類を書く時間や、面接の日程が重なる問題は就活にもあります。採用人数という枠もあるでしょう。それでも、受かりそうな会社へ志望を下げて守れるものは、受験のときよりずっと少ないはずです。

2026年卒の書類提出社数と内定の数
リクルートの『就職白書2026』によると、2026年卒の学生がエントリーシートなどの書類を提出した社数は、提出した学生の平均で12.4社でした*1。
平均で12社あまりですから、候補に一社を戻しても、書類を書く手間が一社分増えるだけのことです。
同じ調査で、内定を取った学生の内定取得総数は平均2.85社、辞退した内定は平均1.63社でした*1。
平均で見ると、内定を取った学生は3社近くに受かり、そのうち1社半あまりを自分で断っている計算になります。
2026年卒の就活を数字で見る
志望を下げたときに避けているもの
受験のように守るものがないのに志望を下げたくなる理由の一つは、本命に落ちる痛みを避けられることでしょう。受けなかった会社については、「落ちた」という経験が残りません。
「落ちるくらいなら受けない」という判断は、不合格がそのまま浪人につながる受験では意味がありました。就活で同じ判断をしても、避けられるのは、落ちたときのつらい気持ちくらいです。
その代わりに、その会社に受かる可能性もなくなります。会社から不合格の通知が来たわけでもないのに、自分で候補から外したことになるわけです。
「無理そう」が判断の癖になっている場合
我究館の卒業生に、理系の学生がいました。もともと挑戦を避けて、自分にブレーキをかけるタイプだった人です。
自己分析を進めるうちに、本人もそのことを言葉にできるようになりました。振り返ってみると、受験のときも自分にブレーキをかけ、あとで後悔していたのです。
就活では、ブレーキをかけようと思えばいくらでもかけられます。この学生は我究館のコーチと話し合い、「就活こそ挑戦したほうがいい」と決めました。そして、採用人数の少ない研究職に応募し、内定を得ています。
本人は内定後、「昔の自分のままだったら、チャレンジせずに終わっていた」「これを逃すと将来ずっと後悔する」と話していました。
この学生の「無理そう」は、会社ごとの見極めというより、繰り返してきた判断の癖でした。あなたの「無理そう」がどちらなのかは、過去の自分の選択と並べてみると確かめられます。

外した会社をもう一度見直す3ステップ
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就活で「現実的に」と考えて志望を下げそうなときは、その判断が受験のときの感覚から来ていないかを、一度思い返してみませんか。就活では、ある会社に落ちても、ほかの会社の選考には響きません。
それでも出せずにいる会社があるなら、自分の判断の癖が関わっていないかを、過去の選択と並べて確かめてみてください。書類を書き始めるのは、そのあとでも間に合います。

(参考)
*1: リクルート リサーチセンター(旧・就職みらい研究所)|『就職白書2026』データ集(学生調査: 2025年11月20日〜12月8日、民間企業等を対象に就職活動を行った2026年卒予定の大学4年生・大学院2年生1,326人。書類提出社数は提出した学生714人の平均、内定取得総数と辞退数は内定取得者1,213人の平均)



